「自測自健(じそくじけん)」のススメ

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起きた直後、会議の後、飲酒時…… 1週間、血圧測ってみました

 あなたは、毎日の血圧を測定していますか。
血圧は睡眠、食事、ストレスなど様々な要因に影響を受け、1日のうちでもどんどん変化していくもの。その変動から、将来かかりうる病気のリスクなども見えることが分かっています。
 不整脈の既往歴があるメーカー勤務のYさんに、1週間、二の腕に装着するタイプの上腕式血圧計で血圧と脈拍数を測定してもらいました。起床時、食後、就寝前のほか、会議や上司面談の後など、仕事上でストレスを感じそうなタイミングでも、こまめに測定。Yさんの生活、そして血圧の変動から見えてくることは? 結果を日記形式で紹介します。高血圧専門医である帝京大の大久保孝義先生にアドバイスを頂きました。

Yさんプロフィール

【身体・健康状態】
41歳男性。身長178cm、体重86kg。30歳を超えた辺りから、階段を上ると息切れするなど、疲れやすくなった。不整脈(心房細動)で2年前に手術。現在は通院・投薬なし。手術前は頻脈がひどくなると立ち上がれず、突然倒れることもあった。

【生活スタイル】
4年前から単身赴任。週末はたいてい妻と息子2人(小6、中2)の暮らす自宅に帰る。小学校から大学まではテニスをしていたが、今は運動習慣なし。生活の中で1日4000歩程度は歩く。タバコは2001年の結婚を機にやめた。

【睡眠】
毎日7~8時間。家と会社が近く、遅くまで寝られるのが嬉しい。

【仕事】
経営や人事総務を担当する部署に所属し、社内の落とし物対応から働き方改革の戦略作りまで、あらゆる業務を担当。対人交渉など、プレッシャーを感じる場面も多い。

【性格】
ストレスに弱い性格と自覚している。

2017年10月11日(水)

※( )内は、最高血圧/最低血圧、脈拍数(拍/分)。

5:05
起床。(135/89mmHg、90)
6:15
朝食。カツサンド。(138/93mmHg、86)
12:35
新規プロジェクトのキックオフミーティング。20人を引っ張る立場なので、これから大変になりそう。(141/98mmHg、95)★A
13:15
昼食。カレーと釜玉うどん。(130/85mmHg、105)
17:55
社長、副社長と社内で立ち話。工場に勤務する社員の健康について話す。(127/83 mmHg、93)
18:25
新規プロジェクトや社内環境整備について、本部長に報告。そんなに緊張しなかった。(137/89 mmHg、97)★B
23:55
居酒屋で宴会後帰宅。ついついはしごして4時間半も飲んでしまった。ビール7、8杯、焼酎、赤ワイン3杯と結構なチャンポン。(123/75 mmHg、108)
大久保先生のアドバイス
 血圧は、闘争本能が高まると上昇します。新規プロジェクトのミーティングで、Yさんはやる気やプレッシャーを感じて闘争本能が高まり、血圧が上がったのでしょう(★A)。また、会議などで緊張やストレスを自覚しなくても、体が勝手に反応し、血圧が上がることもあります(★B)。
   

10月12日(木)

7:50
起床。(133/87mmHg、89)
8:15
朝食。メロンパン。(131/87mmHg、92)
10:25
本部長のお客様が来社、対応する。本部長がいなかったから、そこまで緊張せず。(124/92mmHg、99)
12:50
昼食。ラーメンとチョコボール。どちらも大好物。(135/94mmHg、100)
16:00
本部長報告。緊張せず。(135/94mmHg、94)
17:45
会議終了。(132/91mmHg、95)
22:45
中華料理店で宴会後、帰宅。ビールをジョッキで3杯、びんで1杯。(127/85mmHg、119)

10月13日(金)

5:05
起床。(128/85mmHg、80)
11:00
出張先の工場にて、工場内巡回。(135/85mmHg、89)
12:20
昼食。チキンソテー定食とゴマ団子。(130/85mmHg、92)
14:45
会議。(135/84mmHg、95)
20:30
夕食。焼き肉で乾杯。ビールも進んでジョッキ5杯。(110/70mmHg、109)★C
23:50
出張先から我が家へ。新幹線の中でもビール2缶。帰宅。(112/68mmHg、108)
大久保先生のアドバイス
 Yさんのデータを見ても分かるように、お酒を飲むと、血管が広がり、一時的には血圧が下がります(★C)。しかし、慢性的な飲酒が続くと、交感神経の働きが過剰になり、高血圧や不整脈を招いてしまいます。高血圧と不整脈が組み合わさると、心不全のリスクが高まることが分かっています。2年前に不整脈の手術をされているYさんですから、再発防止のためにも飲酒や外食を少し抑えてみてはいかがでしょう。

10月14日(土)休日

7:30
起床。(132/83mmHg、96)
18:30
朝8時半から夕方まで、子どもの野球トレーニングに付き合う。(118/85mmHg、112)
22:40
就寝前。(113/71mmHg、97)

10月15日(日)休日

5:50
起床。妻の作ったおにぎりを食べ、再び眠りの世界へ。(135/91 mmHg、84)
7:20
二度目の起床。(126/89 mmHg、90)
12:45
三度目の起床。昼まで寝ることはめったにないが、この日は、少年野球に代わりに行ってくれた妻のおかげで、昼過ぎまで寝てしまう。(112/73 mmHg、83)★D
13:50
昼食。子どもと近所のラーメン屋へ。その後、スポーツショップをのぞいて帰る。(126/84 mmHg、96)
19:30
夕食。(126/83 mmHg、96)
23:10
就寝前。(121/89 mmHg、83)
大久保先生のアドバイス
 睡眠中は通常、血圧が昼間の80~85%まで下がります。この日はゆっくりと昼まで寝たことで、交感神経の活性が低下し、体がリラックスモードになったのでしょう。三度寝から起きたあとの血圧が下がっていますね(★D)。また、土日を通してみると、平日より低めになっていることが分かります。

10月16日(月)

7:40
起床。(136/92 mmHg、86)
10:15
オフィスに出勤。人混みがすごいのは苦手。(131/92 mmHg、95)
12:45
昼食。トムヤムクンカップラーメンとおにぎり2個。大嫌いなトムヤムクンを克服すべく挑戦。・・・やっぱり苦手だ。(150/98 mmHg、110)★E
20:25
夕食。おでん、ビール2缶。(109/66 mmHg、112)★F
22:35
就寝前。今日は何だかとても疲れた。(102/59 mmHg、115)★G
大久保先生のアドバイス
 この日の昼食後、血圧が測定期間中の最高値まで上昇しています(★E)。嫌いなトムヤムクンを克服しようと口にしたことで、闘争本能が高まったのでしょう。一方、夕食後の値は、下がっています(★F)。おでんを食べてリラックスした・・・というよりは、ビールを飲んだ影響ではないかと思います。就寝前の値が下がっている(★G)のは、おそらく入浴直後だからでしょう。飲酒後に入浴すると、血圧は下がり、脈は上がります。脈がとても高いところを見ると、この時、細胞が脱水状態だったのでは。お酒を飲んだときは、水分をしっかり補って就寝するようにしましょう。

10月17日(火)

5:10
起床。新幹線で関西へ。(132/97 mmHg、86)
8:50
定食屋で朝食を食べ、出勤。(142/92 mmHg、111)
12:10
会議終了。(126/84 mmHg、96)
12:50
昼食。サバの味噌煮定食。(140/93 mmHg、102)
15:45
打ち合わせ。(139/97 mmHg、100)
17:50
本部長への報告会議。緊張せず。報告中、ずっと不整脈を感じた。(145/92 mmHg、98)★H
22:00
居酒屋で夕食。ビールは大ジョッキ3杯。帰宅後、就寝。(125/80 mmHg、113)
大久保先生のアドバイス
 報告会議中、不整脈を感じたとのこと(★H)。もしかすると、不整脈が再発してきているのかな、と見受けられます。若いころ運動していたYさんのような方は、運動をやめても食べる量は変わらず肥満になってしまうケースが少なくありません。肥満は、拡張期の血圧が高い高血圧の原因になります。これからも健康で働き続けるために、主治医と対話し、生活習慣を改める必要があるでしょう。
   

プロフィール

大久保 孝義

帝京大学医学部・衛生学公衆衛生学講座主任教授。1999年、東北大学 大学院医学系研究科博士課程修了後、東北大学大学院薬学研究科寄附講座 准教授、滋賀医科大学医学部 准教授などを経て現職。

自測自健とは

自分の体の状態を自分で測る。健康を保つための新習慣を考える

健康状態を知るためには、血圧や体重、体脂肪率など、さまざまなデータを測ること。
しかも、人間ドックや健康診断の時ではなく、毎日「自分で測る」ことが大切です。

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