「自測自健(じそくじけん)」のススメ

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アスリートの健康管理や食事が知りたい!/元プロテニス選手・杉山愛さんにききました(後編)

 8年前に現役を引退し、現在は指導者、コメンテーターとして活躍する杉山愛さん。後半は、引退後のライフスタイルについてききました。

「子どもファースト」の生活の中でも、5~10分の呼吸法は欠かさない

――引退してから、健康管理の方法は変わりましたか?
 全く変わりましたね。今は2歳の息子がいて、子育てと仕事のバランスを見ながら、この先少しずつ自分の時間がとれるようになるかな、というところ。私は子どもがほしくて妊活をして、やっと40歳で妊娠にたどり着いたので、どうしても子どもファーストになってしまいます。現役時代に行っていたルーティンも、今は全くやっていません。唯一続けているのが呼吸法です。朝晩30分の時間はとれないので、寝る前のほか、車の運転をしている時や、助手席やタクシーに乗っている時に、5分か10分くらい自分で時間をみつけて、呼吸法を行っています。

――選手時代と変わらない部分はありますか?
 現役の時と引退した今とで共通する部分もありますよ。食べることが好きなので、食べる量は違いますけれど食事をバランスよくいただく、ということは変わらないですね。ただ、仕事の時間が不規則なことがあるので、朝早い日は食べなかったり、ちょっとだけ食べたりする時もあります。ですので、きっちり決めることはせずに、3日とか1週間の中でバランスよく食べられたらいいな、っていう感じでやっています。選手の時は食べるタイミングや食べる量がパフォーマンスに直結するので、仕事の一部という考え方で摂取していたような気がしますが、食事は楽しむもの、リフレッシュするためのもの、という考えは変わらないです。引退してから運動量が激減しましたし、年齢とともに基礎代謝は下がってくるので、今はそんなに量を食べなくても大丈夫。それでも食欲が旺盛な時は、「ちょっと我慢しないと」ってコントロールはしています。

「もう汗をかきたくない!」。
驚くほど体を動かしたくならない

――引退されてから、体を動かしたい衝動に駆られたりしませんか?
 「体を動かしたい!」っていう欲求が驚くほどないんです。自分のキャリアをやりきれたと思うからでしょうか。汗をかきたいと思わないんですよ。実は私、すごく汗っかきで、選手時代は「もう汗かきたくない!」っていうくらい大量の汗が出たんです。代謝がよかったので、汗の量がもう半端ないんです。私のところだけコートが汗でぬれていたり、サンバイザーやスコートから汗が垂れたり。だから「もういいかな」と思うのかも。でも久しぶりに汗をかくと、心が解放される感じがして、やはり気持ちがいいですね。引退したのは8年前ですけど、「これ以上のタイミングはなかった」っていう完璧なタイミングだったので、本当に幸せでしたね。

   

公と私が交わる「ワーク・ライフ・ハーモニー」という考え方

――どのようなライフスタイルが理想ですか?
 選手時代は本当に自分のことだけ考えて、自分中心でやらせてもらっていましたが、結婚して子どもが生まれて、夫のためや子どものため、家族のために動くなど、生活の形が全く変わりました。家族が一番大事だからこそ、仕事と子育て、夫との時間など、色々なバランスを考えながらやっていかないと、アンバランスになってしまう。そこで、「働くママとして、自分がどういう風に自分の人生を歩んでいきたいのか」問い直すようになり、「ワーク・ライフ・ハーモニー」という考え方を始めました。

――「ワーク・ライフ・ハーモニー」とは?
 「ワーク・ライフ・バランス」ということは、よく言われていますよね。「ワーク・ライフ・ハーモニー」は、公私が「バランス」っていうほどはっきり分かれていなくて、うまく交わっているイメージです。私の場合は、ラッキーなことに夫がマネジャーをしてくれており、仕事のスケジュールは2人で考えながら組むことができます。また、決まった場所で朝から夜まで勤務して、という働き方ではないので、自分で仕事や仕事のやり方をコントロールできる。だから公私がはっきり分かれているわけではなくて、輪が重なっている部分もあるんです。仕事で地方に行く時に子どもを連れて行って小旅行にしてしまう、みたいな。そういう自由がきくから、ありがたいなぁと思っています。

日常のささいなことでも話せる環境

――ご主人の存在も大きいそうですね。
 妊娠してから、夫がマネジャーになったんですが、特に妊婦の時は、何が起こるかわからない不安もありましたので、すごく心強かったです。今も、送り迎えに始まり、様々なケアをしてもらっているので、恵まれた中で仕事ができているな、と思います。近くにいるからこそ、気になっていることや、日常のささいなことを話し合えるのは大きいですね。ストレス軽減になります。ストレスって、様々な病気の原因になりますよね。それをいかに発散させるか、うまくシェアするか、というのが、誰しも必要なことだと思いますけど、私はそれがうまくできる環境にいると思います。話せない環境はストレスになりますからね。

「何やっているんだろう」と思うくらい大変だった大学院生活

――元々、指導者になりたい気持ちがあったのでしょうか?
 引退してからは、自分がどういう方向に進んでいきたいか、試行錯誤の日々が続いていました。指導者になりたい気持ちや、コートに戻りたい思いもありましたが、指導者になるならコーチング学やスポーツマネジメントなどを学び、自分の幅を広げてから現場に戻りたいと思っていました。
 ちょうど妊娠が発覚した時に大学院に行くことを決めて、妊婦として大学に通い、出産も大学院在学中に経験しました。「何やっているんだろう」と思うくらい大変で、子育てしながら学業と仕事をこなすハードな2年間でした。すごく勉強になりましたし、達成感も感じましたね。

  

――指導者としての活動は、どのように感じていますか?
 昨年3月に大学院を修了して、4月からコートに立ち、ジュニアたちの指導を始めました。自分でプレーすることと教えることは全然違いますけれど、わくわく感というのか、充実感は同じくらいにありますね。自分のアドバイスや、小さなきっかけで選手が良い方向に向かった時は本当にうれしくなりますから。もしかしたら、自分がプレーしている時よりも難しさがあるかもしれないですが、とにかく今は楽しいです。

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プロフィール

杉山 愛(すぎやま・あい)

1975年生まれ。元プロテニス選手。17歳でプロに転向、34歳で現役を引退。WTA最高ランキングはシングルス8位、ダブルス1位(日本人初)。現在は自身のスポーツクラブ「Palm International Sports Club」で指導者として活動するほか、テレビ番組のコメンテーターとしても活躍。

自測自健とは

自分の体の状態を自分で測る。健康を保つための新習慣を考える

健康状態を知るためには、血圧や体重、体脂肪率など、さまざまなデータを測ること。
しかも、人間ドックや健康診断の時ではなく、毎日「自分で測る」ことが大切です。

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