「自測自健(じそくじけん)」のススメ

  • TOP
  • 血圧
  • 高血圧も低血圧も要注意!妊婦が安全に出産するための心構えとは

高血圧も低血圧も要注意!妊婦が安全に出産するための心構えとは

 妊婦健診に行くと、必ず行われるのが「血圧測定」です。なぜ必ず血圧を測るのか?それは、妊婦にとって血圧の変動が、とても重要なポイントだと考えられているからです。もし高血圧や低血圧の状態で妊娠・出産となると、母体や胎児にどんなリスクが待っているのでしょうか。本稿では、適正な血圧やリスク、安全に出産するための血圧改善方法をご紹介します。

監修者プロフィール

清水 なほみ 医師

2001年広島大学医学部医学科卒業。中国がんセンター産婦人科・ウィミンズウェルネス銀座クリニック・虎の門病院産婦人科を経て、2010年9月「ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~」を開業。日本産科婦人科学会専門医/日本不妊カウンセリング学会認定カウンセラー。所属学会・日本産婦人科学会・日本性感染症学会・日本思春期学会・日本不妊カウンセリング学会。ポートサイド女性総合クリニック

妊婦の正常な血圧とは?

 妊娠中は、妊娠していないときの血圧とは異なる「妊娠中の血圧」の特徴が見られるようになります。ここでは血圧の区分と、それぞれの状態について解説します。

・正常血圧:最高血圧が120mmHg未満かつ最低血圧が80mmHg未満
正常血圧は、性別・年齢を問わず、正常な数値のことです。病気になるリスクが低く、母体にも胎児にも負担をかけないため、妊娠生活を送る上で理想的な血圧といえます。

・正常高値血圧:最高血圧が120~129mmHgかつ最低血圧が80mmHg未満
正常な範囲内ですが、高めの血圧を正常高値血圧といいます。高血圧に移行する危険性もあるため、生活習慣を見直して血圧を下げる必要があります。

・高血圧:最高血圧が140mmHgまたは最低血圧が90mmHg以上
妊娠20週以降~分娩後12週までの間に、この値に該当すると、「妊娠高血圧症候群」とみなされます。妊娠高血圧症候群は、妊娠時に高血圧を発症することをいい、胎児の発育不全、機能不全、最悪の場合には胎児の死亡に至る恐れもあります。

妊娠中の低血圧による母親と胎児へのリスク

 一方、低血圧は一般的に最高血圧が100mmHg以下、最低血圧が60mmHg以下の状態を指しますが、妊娠中に低血圧になると、母親と胎児にどのようなリスクがあるのでしょうか。

・妊娠初期のリスク
妊娠初期、多くの人には「つわり」の症状が見られます。ひどい場合は水分を摂取しにくくなり、脱水症状に陥るケースも少なくありません。水分不足になると血液量も低下するため、低血圧になってしまう可能性があります。中でも「起立性低血圧」になるとベッドから起き上がる時や椅子から立ち上がる時などにフラフラしたり、めまいが起きたりし、転倒してお腹をぶつけてしまう危険性があるので注意が必要です。

・妊娠中期~後期のリスク
胎児の向きやその日の体調により、自分にとって楽な姿勢は変化します。しかし、妊娠中に仰向けに寝ると、下腹部付近にある「下大静脈」が子宮によって圧迫され、血液のめぐりが悪くなります。すると血圧が低下していき、顔面蒼白、冷や汗、嘔吐、頻脈、多呼吸などの症状が出てくるようになります。この状態を「仰臥位低血圧症候群(ぎょうがいていけつあつしょうこうぐん)」と呼びます。

 仰臥位低血圧症候群になると、母親は意識が遠のいたり、気絶したりすることもあります。それと同時に、胎児の心拍数が低下して、低酸素状態になる危険性も高まります。妊娠中期以降は仰向けに寝ないのが基本ですが、もしも仰向けの姿勢で息苦しさを感じたら、すぐに体の左側を下にして横向きになるよう姿勢を変えましょう。その際はクッションをお腹の下に挟むようにすると楽な姿勢が取りやすくなります。

安全に出産するための4つの低血圧改善方法

 ここでは、低血圧の方が安全に出産するための心掛けを4つご紹介します。

1. 無理のない範囲で運動をする
妊娠中であっても、適度に体を動かすことは必要です。妊娠中は医師と相談をしながら運動するのが理想ですが、胎盤が完成し始める15~16週くらいになれば、運動を開始しても問題ないでしょう。

 妊娠中におすすめなのは、胎児にも酸素を届けながら運動することができる「有酸素運動」です。ウォーキング、水泳、ジョギング、ヨガなどは母親にも胎児にもリスクが少ない運動なので、取り入れてみてください。

 運動をするのが難しい日は、体調を見ながら自宅で柔軟体操やストレッチをするのも効果的です。

2. 食生活を見直す
妊娠中は、3食しっかりバランスの取れたメニューを食べましょう。低血圧の方は、倦怠感から食事を抜いてしまうこともあるかもしれません。しかし、可能な限り栄養バランスの良い食事を心がけていくことが大切です。おすすめの食材や、栄養素の摂取するコツは以下の通りです。

・低血圧妊婦におすすめの食材と栄養素
低血圧の方は体温を上げるため、肉、魚、野菜、大豆、タンパク質、塩分などを意識して摂取するようにしましょう。ただし、塩分には血圧を上げる作用もあるため、適量をしっかりと守る必要があります。

・おすすめの食べ方
生の肉やハムを摂取すると、妊娠中に避けた方がいい感染症のリスクを上げることになります。必ずしっかり火を通した状態で食べましょう。

・最適な栄養のバランス
低血圧の方は「タンパク質、脂質、糖質」の3つをバランス良く摂取するよう意識することが大切です。

3. 睡眠時間をしっかり確保する
低血圧の場合、一般的に必要とされるよりも長い睡眠時間が必要です。ですが、妊娠中には睡眠を浅くする「エストロゲン」の分泌が多くなることもあり、夜の寝つきが悪くなります。改善のために、なるべく眠れるように心がけましょう。仮に眠れなかったとしても、スマホやタブレットなどの強い光は避け、部屋の電気を消して安静にしていることが大切です。睡眠前に音楽やアロマなどでリラックスするのも効果的でしょう。

4. ストレスを解消する
妊娠による体や心の変化、母になるというプレッシャーのほか、妊娠中に低血圧になったことを悲観して不安になると、ストレスが蓄積されてしまいます。それによって血流が悪くなり、さらに低血圧が悪化してしまいます。ストレスを発散させ、必要以上に不安を感じないように心がけましょう。好きなものを食べたり、友人や旦那に話を聞いてもらったり、マタニティヨガに通ってみるのも良いかもしれません。

安全に出産する準備をしよう

 妊娠中に高血圧や低血圧となった場合は、医師の指導に基づき改善をはかることが重要です。ほかにも、今回ご紹介した改善方法を実践することで、安全に出産できる確率が高まります。身体的にも精神的にも安心した状態で出産をすることが、胎児にとって何よりも大切なことです。

自測自健とは

自分の体の状態を自分で測る。健康を保つための新習慣を考える

健康状態を知るためには、血圧や体重、体脂肪率など、さまざまなデータを測ること。
しかも、人間ドックや健康診断の時ではなく、毎日「自分で測る」ことが大切です。

関連記事