【旅行前に読んでおきたい】旅先で健康に過ごすために気をつけるべきことって?:「自測自健(じそくじけん)」のススメ:朝日新聞デジタル

「自測自健(じそくじけん)」のススメ

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【旅行前に読んでおきたい】旅先で健康に過ごすために気をつけるべきことって?

 そろそろ秋の旅行シーズン。今年のシルバーウィークは短めですが、連休を利用して近くの温泉地や、紅葉狩りに行く人も多いのでは?リラックスして楽しみたいけれど、ハメを外しすぎて体調を崩してしまった、なんてことになったら元も子もありません。

 実は、ノーマークで過ごしてしまいがちな「血圧」が、旅行中に急上昇してしまうことがあるそう。旅先で体の不調に悩まされないように、健康的に楽しむコツを高血圧の専門医、東京女子医科大の市原淳弘先生に聞きました。

旅行と血圧、どんな関係があるの?

 血圧はなぜ上がるのでしょうか。これは、かつて人類が狩猟生活をしていた 頃の名残かもしれません。獲物を発見し、興奮して血圧が上がると、脳の攻撃能力や判断能力が上がったのではないでしょうか。現代でも同様で、逆に血圧を下げる薬を飲むと物事を考えられなくなったり、眠くなったりするなどの症状が出ます。

 旅行先では様々な刺激を受けて脳が興奮しますから、ある意味、狩猟に行くような状態なのかもしれませんね。そういう意味では当然ながら、血圧は平時より上がります。

旅先で脳卒中を起こす可能性がある!?

 血圧は、よほど上昇しない限りは、ほとんど無症状。しかし、これは危険な状態に気づいていないだけなんです。

 旅行中、注意すべきなのはまず食事。普段血圧が高くない人でも、おいしいご飯を食べ過ぎると、塩分を過剰に摂取してしまいます。刺し身の醬油や、ラーメンなどは塩分を多く含んでいますね。塩分を多く摂れば、血圧上昇のリスクも高まります。

 旅先では、朝から晩まで歩き回るなど、普段より活動量が増えます。わくわくして、脳の交感神経系が活発になると、血管がきゅっと締まり、血圧が上がります。血圧は食後約1時間で上昇するので、夕食後から夜遅くまで話し込み、睡眠不足のまま朝を迎えると、血圧が上昇したままになってしまいます。こうしたことから、まれに旅先で脳卒中を起こす人もいます。

 

血圧高めの人が旅の前後でしておくべきことは?

 健康に旅行を終えるためには、旅行に行く前にあらかじめ血圧を測っておくことが大切です。数値を確認しておけば、高めの方は食事に気をつけることができます。さらに、帰ってから測ることもお勧めです。血圧の大敵は塩分。血圧の数値を確認して、高ければ減塩食を心がけたり、ぐっすり眠って体を休めたりするなど、旅行後のケアの判断材料にして下さい。

既に高血圧の方に守ってほしいポイント3つ

 一方で、既に高血圧で治療を受けている方に守ってほしいことは以下の3つです。まずは、薬を忘れずに持って行って下さい。海外旅行で時差がある場合の飲み方は、現地の時間に合わせて飲むこと。例えば、朝服用する場合は日本で朝飲み、現地でも朝になってから飲んで下さい。今の薬は長時間作用型が主流です。多く飲み過ぎ、血圧が下がり過ぎてしまうよりは、少なめに飲むほうを私はお勧めします。

 次のポイントは、食事は減塩を常に意識し、こまめに水分を補給すること。塩分を身体から排出することを意識しましょう。

 最後に、簡易血圧計を持って行くこともお勧めします。今は手首で測るコンパクトな 血圧計もあるので、旅先で自分の体の状態を確認しましょう。

エコノミー症候群を防ぐために大切なこと

 血圧調節機能が正常であれば、立とうが座ろうが横になろうが、血圧は一定になるようにできています。ですから、長時間移動でも血圧を正常に保つために何か運動しなければならないということはありません。

 しかし、怖いのは脱水症状です。飛行機など体を動かしにくい状況で水分を控え過ぎると、足の血流が滞って足の静脈に血栓(*1)ができてしまうことがあります。この血栓が血流に乗って肺に到達し、肺の血管が詰まると、急性肺血栓塞栓症になります。いわゆるエコノミークラス症候群と呼ばれる症状です。 これを防ぐためにも、水分をしっかり補給して飛行機の中でも動き回り、体内の血流が滞らないように気をつけましょう。

*1 血栓
血管内で凝固してできる血液の固まり。(大辞林より)

旅行の計画は、体力や血圧の状態をみて調整を

 旅行先では、はしゃぎすぎて疲れ、かえってストレスに感じることがあります。人間は疲れると、頑張って体を動かそうと脳がアドレナリンというホルモンを出します。アドレナリンは交感神経系の伝達物質なので、血管を締めて血圧を上げる作用があります。だから、疲れすぎも血圧の上昇につながるんです。

 かといって、はしゃぐなとは言えませんね。まあ、遊ぶのはほどほどに、無理をしないことです。

 例えばバスで巡るツアーなら、もし調子が悪いと感じたら、外へ出て観光する時間でも、バスにとどまって休むという調節が必要です。自分の血圧や体力と相談しながら、旅行の計画を立てて下さい。

 食事も同じ。周りの人と同じように食べる必要はありません。塩分が多いものは少しだけにしたり、他の人にあげたりするなどして調整しましょう。

 血圧は健康のバロメーターです。血圧を意識することで、楽しい旅行にして下さい。

   

プロフィール

医学博士 市原淳弘(いちはら・あつひろ)

1986年慶應義塾大学医学部卒。慶應義塾大学准教授などを経て、2011年に東京女子医科大学内科学主任教授に就任。高血圧や内分泌疾患の専門医として減塩食の監修、市民向けの講座などにも関わる 。

自測自健とは

自分の体の状態を自分で測る。健康を保つための新習慣を考える

健康状態を知るためには、血圧や体重、体脂肪率など、さまざまなデータを測ること。
しかも、人間ドックや健康診断の時ではなく、毎日「自分で測る」ことが大切です。

トレンドニュースby 朝日新聞デジタル

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