プレゼン後に血圧が急上昇/1週間、血圧測ってみました②:「自測自健(じそくじけん)」のススメ:朝日新聞デジタル

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プレゼン後に血圧が急上昇/1週間、血圧測ってみました②

 睡眠、食事、ストレスなどの影響を受け、1日のうちでもどんどん変化していく血圧。
 「Yさんの血圧日記」に続き、メーカー勤務のMさんにも、1週間、二の腕に装着するタイプの上腕式血圧計で血圧と脈拍数を測定してもらいました。起床時や就寝前に加え、食後や運動後などにも測定。Mさんの生活、血圧の変動から見えてくるものは?今回も、高血圧専門医である帝京大の大久保孝義先生にアドバイスを頂きました。

Mさんプロフィール

【身体・健康状態】
50歳男性。身長164cm、体重60kg。6年ほど前は82kgあった体重を、食事の工夫と運動などで1年半で27kg落とし、54kgに。今は少しリバウンドしているが、これから3カ月でまた54kgまで落とす予定。血圧は高めで、医師からは加齢によるものと言われた。

【生活スタイル】
2006年から大阪、2010年からは東京で単身赴任生活。月1、2回岡山の自宅に帰っている。運動は嫌いだったが、ダイエットのために2日に1回10kmのランニングを始め、現在も週に2、3回10kmを走っている。フルマラソンに10回以上出場経験あり。5年前に登山を始め、今では月に数回行くほどの趣味に。食事のカロリーは計算して1日1500~2000kcalに抑え、摂取カロリーが消費カロリーを超えないように気をつけている。タバコは25年前にやめた。

【睡眠】
毎日7時間ほど。寝付きはいいが眠りは浅いと感じている。

【仕事】
自社製品・サービスを企業や自治体に売り込むB to B営業。そんなにストレスは感じていない。

【性格】
生真面目だが、細かいことは気にしない性格。

2017年10月29日(日)休日

※( )内は、最高血圧/最低血圧、脈拍数(拍/分)。

この日は1日休み。寝る前に、血圧を特集したNHKのテレビ番組「“血圧サージ”が危ない」を見た。毎日、夕食時に500ml缶のビール2本を飲んでいる。

22:46
就寝。(165/123mmHg、76)★A
大久保先生のアドバイス
 血圧は、熱中したり興奮したりした時にも上昇します。Mさんはテレビに熱中して血圧が上がったのでしょう(★A)。 毎日1Lのビールは、飲み過ぎかと思います。半分の500mlに減らしましょう。飲み会で多く飲んだ日の次の日は飲まないなど、週単位で考えて量を調整しましょう。飲んだ直後は血管が広がり、一時的に血圧は下がります。しかし慢性的に多量の飲酒を続けると、交感神経の働きが過剰になり、高血圧を招いてしまいます。
   

10月30日(月)

7:22
出勤前。(132/94mmHg、87)
8:35
出社後。(151/108mmHg、95)
13:12
昼食。手作りのお弁当。800mlくらいのお弁当箱に、ご飯と梅干し、卵焼き、サラダ、コロッケなど。(152/106mmHg、103)
17:00
20人規模のワークショップを21時まで開催。かなり神経を使って疲れた。
22:20
帰宅(165/125mmHg、86)★B
夜ごはんはたいてい自炊。血圧のことを考えて、カリウムを多めに摂取することを心がけている。500ml缶のビール2本がお供。
23:21
就寝。(157/119mmHg、70)★C
大久保先生のアドバイス
 帰宅後(★B)と就寝前(★C)の血圧が高いですね。特に帰宅後は、測定期間中の最高値まで上昇しています。仕事で神経を使って脳が興奮状態にあったのが、血圧に影響したのでしょう。 食事については、外食ではなく自炊をしているのは、とてもいいことですね。外食だとどうしても塩分が多くなってしまいますから。血圧を抑えるにはカリウムが有効ですが、野菜は味をつけて食べることが多いので、野菜からとろうとすると塩分も多くなってしまいます。果物からとるといいですよ。バナナ1本やキウイ1個程度を、毎日食べるといいでしょう。ただし、果物にはカロリーも多いので、とりすぎには注意です。

10月31日(火)

6:33
起床。(135/97mmHg、64)
出社後、午前中に会議。その後草津出張へ。夜の飲み会では、ビールをジョッキで4杯。
23:52
ホテル着。(131/94mmHg、88)
0:15
就寝。(131/91mmHg、80)

11月1日(水)

6:21
起床。(138/99mmHg、65)
7:12
ホテルバイキングの朝食。サラダを大量に、魚とコンソメスープなど。(137/100mmHg、80)
出張から帰社後、仕事の打ち合わせ、プレゼンの準備などに追われる。神経を使って疲れた。
20:40
帰宅。(158/121mmHg、86)★D
大久保先生のアドバイス
 仕事で神経を使って疲れた様子が、血圧にも表れていますね(★D)。脳が興奮状態にあり、交感神経が活発化したのでしょう。ホテルでの朝食では、野菜を意識して食べていて、いいですね。そういえば、Mさんは1年半で27kg落としてダイエットされたようですが、急に落とし過ぎですね。もう少しゆっくりでもよかったのではないでしょうか。1年で体重の5%を減らすくらいが目安です。急激に体重を落とすとリバウンドしやすく、リバウンドすると、以前その体重だったときよりも血圧を上げるホルモンや神経が敏感に反応するため、血圧が上がりやすくなってしまいます。

11月2日(木)

6:39
起床。(128/83mmHg、66)★E
8:05
出勤前。(130/86mmHg、88)
8:47
出勤前。(122/82mmHg、103)
お客さんと懇親会の会食。ビールをジョッキで3杯。
23:14
帰宅。(128/89mmHg、81)
23:33
就寝前。(131/93mmHg、80)
大久保先生のアドバイス
 Mさんの起床時の血圧は安定して高めですが、この日の起床時の血圧は、他の日に比べて少しだけ低めですね(★E)。お酒を飲んだ次の日の朝は血圧が高くなるので、前日夜の飲酒量が少なかったのでは? お酒を飲むと寝付きはよくなりますが、睡眠の質が落ち、血圧の上昇を招いてしまいます。まず飲酒量を減らしましょう。それでも朝の血圧が下がらなければ、服薬も考えた方がいいかもしれません。5日間の平均が(135/85mmHg)くらいが目安です。

11月3日(金・祝)休日

5:03
起床。今日は休日で、楽しみにしていた登山の日。起きる時間を気にしてあまり眠れなかった。(141/103mmHg、65)★F
5:39
外出前。(135/97mmHg、73)
日帰りで神奈川・丹沢の鍋割山に登山へ。食べるのを楽しみにしていた、山小屋の鍋焼きうどんが絶品だった。
20:37
帰宅。(145/99mmHg、87)
大久保先生のアドバイス
 起床時の血圧が少し高めですね(★F)。起床時間を気にしたせいもあるかもしれませんが、前日飲んだお酒のため、眠りが浅かった影響もあるかもしれません。

11月4日(土)休日

9:26
起床。(139/95mmHg、67)
12:23
外出前。(134/98mmHg、92)
10kmをランニング。ランニングをすると、血圧は落ち着く気がする。
19:37
帰宅。(126/89mmHg、101)★G
自炊の夕食。今日も500mlの缶ビール2本飲んだ。
21:42
就寝前。(123/86mmHg、89)
大久保先生のアドバイス
 定期的な運動はいいですね。ランニングなどで体を動かしていると、HDL(善玉)コレステロール値が上がり、動脈硬化が進みにくくなります。運動後しばらくすると一時的に血圧は下がりますが(★G)、長期的な効果を出すには継続する必要があります。無理のないペースで続けてほしいですね。

11月5日(日)

6:32
起床。(137/102mmHg、76)
イベントの仕事。そんなに疲れなかった。
16:20
帰宅。(156/114mmHg、86)★H
17:54
ランニング前。来週のフルマラソン出場に向けて気合が入る。(133/94mmHg、102)
この日も10km走った。ランニング後のビールはおいしい。夕食時に500ml缶を2本飲んだ。
21:17
就寝前。(127/86mmHg、86)
大久保先生のアドバイス
 自分で意識はしていなくても、仕事で交感神経が活性化されて血圧が上がったのでしょう(★H)。もしかしたらMさん自身はストレスを感じていないつもりでも、体はストレスを受けているのかもしれませんね。眠りが浅いという悩みもありますし、仕事のストレス度や夜寝ているときの血圧を見るため、一度、24時間の血圧を測った方がいいかもしれません。24時間血圧測定は医療機関で特別な血圧計を着けてもらう検査で、保険がききます。夜寝ている時の血圧が高い場合は、より積極的な治療が勧められます。これからの健康のためにも、一度主治医に相談してみてください。
   

プロフィール

大久保 孝義

帝京大学医学部・衛生学公衆衛生学講座主任教授。1999年、東北大学 大学院医学系研究科博士課程修了後、東北大学大学院薬学研究科寄附講座 准教授、滋賀医科大学医学部 准教授などを経て現職。

自測自健とは

自分の体の状態を自分で測る。健康を保つための新習慣を考える

健康状態を知るためには、血圧や体重、体脂肪率など、さまざまなデータを測ること。
しかも、人間ドックや健康診断の時ではなく、毎日「自分で測る」ことが大切です。

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