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この値、ほんとうに低血圧?/1週間、血圧測ってみました③

 食事や睡眠、ストレスなど、日々の生活の中の様々な影響を受け、1日の中で変化していく血圧。「血圧日記」第3弾は、新聞社に勤務するKさんに、1週間、二の腕に装着するタイプの上腕式血圧計で血圧と脈拍数を測定してもらいました。起床時や就寝前に加え、食事や仕事の後にも測定。どのくらい変動が見られるのでしょうか?今回も、高血圧専門医である帝京大の大久保孝義先生にアドバイスを頂きました。

Kさんプロフィール

【身体・健康状態】
44歳女性。身長154.5cm、体重46kg。低血圧だと自覚している。悪玉コレステロール値が高く、7、8年前から健康診断で引っかかっている。遺伝性のものかもしれないと思っている。

【生活スタイル】
実家で家族と暮らしている。通勤時間は長く、電車で片道1時間45分ほど。仕事の日は決まって家からお弁当を持って行く。朝食は多めに、夕食は食べる時間が遅いので軽めに食べることを心がけている。コレステロール値を気にして、バターを含む食べ物は控え、野菜多めの食事にしている。お酒は飲み会以外では飲まない。タバコは吸わない。

【運動】
全く運動はしていない。家から最寄り駅まで徒歩10分の距離だが、ついタクシーを使ってしまう。最近はがんばって歩くようにしている。

【仕事】
新聞紙面のレイアウトに関わる編集業務。シフト制でだいたい昼12時半~21時過ぎの勤務。毎日決まった締め切り時間までに作業を終えなければならずプレッシャーはあるが、ストレスは感じていない。楽しんで仕事ができており、充実感もある。

【性格】
周りを気にしないマイペースな性格で、あまりストレスは感じない。頑固で気分にムラがあると感じている。

2018年2月8日(木)

※()内は、最高血圧/最低血圧、脈拍数(拍/分)。

8:43
起床。(105/73mmHg、78) ★
朝食は、グラノーラ、ヨーグルト、果物、目玉焼き、サラダ。
15:02
出社後、一仕事してから昼食。家から持ってきたお弁当(おにぎり、野菜炒め、ハンバーグなど4種のおかず、みかん、みそ汁)。(102/70mmHg、83)
20:45
今日の仕事が一段落した。トラブルなく終われそうだ。(109/75mmHg、73)
会社で夕食(パン2個、スムージー)を食べて帰宅の途につく。帰りの電車で寝過ごしてしまった。折り返しの電車にすぐ乗れたので、帰宅時間に大差はなく一安心。
23:27
就寝。(110/75mmHg、71)
大久保先生のアドバイス
 低血圧に国際的な基準はないのですが、統計的な血圧値の分布では、起床時の最高血圧が80未満だと下位5%に位置するため、低血圧と言って良いかと思います。ただ、低血圧と言っても、特にめまいや頭痛などの症状がなければ、80未満でも問題がない場合もあります。
 Kさんは低血圧と自覚されているようですが、この日の起床時の血圧は105mmHg(★)と、数値を見る限り低血圧ではなく正常の範囲かと思われます。
   

2018年2月9日(金)公休

9:27
起床。(104/73mmHg、77)
朝食はほぼ毎日決まっている。今日もグラノーラ、ヨーグルト、果物、目玉焼き、サラダを食べた。
13:07
用事を済ませた後、友人から教えてもらった博多うどんの店に車で行き、肉ごぼう天うどんを食べた。おいしいと聞いていた「カシワおにぎり」が無く、ちょっとがっかり。 (106/71mmHg、81)
うどんを食べた後、温泉でリラックスし、カフェでまったり新聞タイム。大好きな車の運転をして気分転換もでき、充実した1日だと感じた。
19:03
夕食。(104/65mmHg、74)
22:07
就寝。昼食でうどんの汁を飲みすぎたせいか、胃が重く感じる。 (112/69mmHg、65)
大久保先生のアドバイス
 血圧は安定していますね。1日の中で血圧の変動幅が大きい人は、将来、脳卒中や認知症などの病気になる確率が高くなる、というデータがありますが、そのような問題もなく良いと思います。

2018年2月10日(土)公休

10:12
起床後、いつもの朝食を食べる(グラノーラ、ヨーグルト、果物、目玉焼き、サラダ)。(93/59mmHg、78)
今日は一日家に引きこもって、テレビでオリンピック観戦だ。
13:50
チーズトーストと野菜スープの昼食。(105/69mmHg、64)
一日中ソファに座りっぱなしでテレビを見て、お菓子を食べ過ぎてしまった。体が重く、やる気が出ない。
23:52
家で夕食を食べて就寝。(99/64mmHg、65)
大久保先生のアドバイス
 この日も特に問題は無いようですね。そういえばKさんはコレステロール値が高いとのことですが、朝の卵1個くらいは適正量ですね。コレステロールを多く含むものを摂取すればコレステロール値が上がるのはもちろんですが、体内のコレステロールの70%は、炭水化物をもとに肝臓で作られることを知っていますか? 炭水化物をとりすぎると、コレステロール値は上がります。パンの量を半分にして、お肉などのたんぱく質を増やしてみてはいかがでしょうか。

2018年2月11日(日)

10:08
起床。(95/66mmHg、78)
今日は和食の朝食。ご飯、みそ汁、納豆、ヨーグルト、グラノーラ。
15:35
出社後、一仕事してから昼食。昼食はいつものお弁当(おにぎり、野菜炒め、肉のおかず、みかん、みそ汁)。(100/71mmHg、84)
全国的な降雪のため締め切り時間が繰り上がり、久しぶりにスリリングな時間を過ごした。無事締め切りに間に合って一安心。
21:50
会社でおにぎりと総菜の夕食。(101/74mmHg、―)
帰りの電車で嘔吐(おうと)している人を目撃してしまい、テンションが下がった。
0:55
仕事でイレギュラーな事態はあったものの、疲れは特に感じない。就寝。
(108/73mmHg、60)
大久保先生のアドバイス
 朝食はバランスよくとっていていいと思いますが、1日を通してたんぱく質が足りてないように思います。夜、肉か魚でたんぱく質をとったほうがいいですね。たんぱく質が足りなくなると、血管にハリがなくなり、冷え性、手足のしびれ、立ちくらみなどの症状が出てきてしまいます。お昼のお肉のおかずをもう少し増やし、夜も肉か魚を食べることをお勧めします。

2018年2月12日(月)

9:28
起床。(97/61mmHg、78)
和食の朝食(ご飯、みそ汁、納豆、ヨーグルト、グラノーラ)を食べた後、少し早めに家を出て、新しいハンドクリームを買った。少し気分が上がった。
15:15
家から持参のお弁当で昼食(おにぎり、野菜炒め、肉のおかず、みかん、みそ汁)。(102/69mmHg、88)
21:05
仕事が終わった後、会社で夕食。 (102/74mmHg、70)
23:58
帰宅後、お風呂上がり。(99/69mmHg、68)
大久保先生のアドバイス
 血圧は安定しており全く問題ないですが、脈拍が速いように見受けられます。起床時の、40歳の脈拍の平均値は70bpmくらいです。日中の脈拍はその日の活動の影響を受けやすいため、起床時の脈拍を目安にします。脈拍が速いということは、心臓が速く動いて心臓の負担が増えているということですので、そんなに良いことではありません。水分不足になると脈が速くなりやすいので、夜寝る前に水や白湯など、糖分やカフェインが入っていない飲み物を飲むといいでしょう。

2018年2月13日(火)

8:59
起床。(107/74mmHg、77)
15:34
久しぶりに、職場の同僚とおしゃべりしながらの昼食(お弁当)。話が盛り上がって、楽しかったし、リラックスもできた。(108/74mmHg、86)
21:38
仕事が一段落。今日も何事もなく終わってよかった。(108/76mmHg、84)
会社で夕食(パン、野菜ジュース)後、帰宅の途。今日は最寄り駅から歩いて帰った。寒かったけど、頑張った。
大久保先生のアドバイス
 運動を全くしていないようですね。脈拍が速いこともありますし、Kさんは普段からよく息切れしているのではないでしょうか? 実は大腸がんになりやすいなど、運動不足は万病のもと。骨、筋肉量の低下を招き、高齢になってから骨折のリスクが高まります。ついタクシーに乗ってしまうそうですが、しっかり歩きましょう。運動時間を10分増やそう、という「プラス10運動」というものがあります。Kさんも、あと10分歩く時間を増やして毎日20分歩いたり、週に1回1時間走ったりなど、ライフスタイルに合わせて運動をしてください。

2018年2月14日(水)

8:48
起床。いつもと変わらない朝。(106/77mmHg、83)
和食の朝食(ご飯、みそ汁、納豆、ヨーグルト、グラノーラ)。
12:50
出社後、少し仕事の打ち合わせ。(107/70mmHg、97)
大久保先生のアドバイス
 1週間を通して血圧の問題は見られませんでした。Kさんは該当しないとは思いますが、一見正常血圧に見えて実は問題があるケースをご紹介します。
 横になった状態から起き上がって3分以内に測った血圧が、上で20mmHg、下で10mmHg以上低下すると、起立性低血圧に該当します。これは、通常就寝時に下がる血圧が就寝時も下がらない、夜間高血圧の原因の一つ。夜間高血圧の場合、脳や心臓に負担をかけて心不全や脳卒中などのリスク、総死亡率が高まるため注意が必要です。起きた時に立ちくらみがある場合は、座っている状態だけではなく、横になった状態でも血圧を測定してみてください。
 「白衣高血圧」と呼ばれるものもあります。家では正常血圧なのに、病院に行った時に血圧が高い場合のことで、内向的な性格の人に多いと言われています。Kさんは血圧の上がり下がりが少ないため該当はしないと思います。周りの影響を受けにくいということは、血圧的にとてもいいことだと思いますよ。
   

プロフィール

大久保 孝義

帝京大学医学部・衛生学公衆衛生学講座主任教授。1999年、東北大学 大学院医学系研究科博士課程修了後、東北大学大学院薬学研究科寄附講座 准教授、滋賀医科大学医学部 准教授などを経て現職。

自測自健とは

自分の体の状態を自分で測る。健康を保つための新習慣を考える

健康状態を知るためには、血圧や体重、体脂肪率など、さまざまなデータを測ること。
しかも、人間ドックや健康診断の時ではなく、毎日「自分で測る」ことが大切です。

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