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朝食で低血圧を予防できる!?血圧の変動理由を知ろう

監修者プロフィール

伊藤メディカルクリニック院長
伊藤 幹彦 先生

東京医科大学卒業後、東京医科大学第2外科(心臓血管外科)入局。東京医科大学八王子医療センター心臓血管外科や東京警察病院外科医長などを経歴し、現在は伊藤メディカルクリニックの院長を務める。これまでの術者としての経験をもとに、全身管理の大切さをモットーとし、健康維持への貢献を目指している。

 突然のめまいや立ちくらみなど、日常生活で悩まされることが多い症状。そのような症状には低血圧が原因と考えられるものもあります。もしもこれらの原因が低血圧であれば、いつもの朝食を工夫するだけで改善できる可能性があります。

1日のなかで血圧は変化する

 血圧は心臓から送り出す血流で生じる圧力のことです。それを一日の中でみると、実は大きく変化していることをご存知でしょうか。

血圧は1日の中で大きく変化する
 血圧は、朝起きる前から少しずつ上がり始めます。日中の活動が多い時間は上下に動き、夕方から夜になるとだんだん低下していき、睡眠中はさらに低い血圧になります。これが一日の基本的な血圧の変化です。

 

 もちろん、行動内容や外的なストレスなどによっても血圧には変動が生じるため、血圧を計測するタイミングによって血圧の値は異なります。血圧計で血圧を測る際、1回目の計測で高い値が出てしまい、少し落ち着いてから2回目の計測をすると、さっきとは違って低い値が出たという経験がある人もいるのではないでしょうか。この例のように、肉体的な活動だけではなく、興奮状態など精神的な状態によって血圧は変化します。

 

 さらにいえば、同じ人であっても、日によって血圧は変わりますし、変動の仕方も異なると言われています。ですので、基本的な血圧の動きを理解しておき、必要に応じて血圧を正しく測定することが重要だと言えるのではないでしょうか。

寝ているときの血圧は起きているときよりも低い
 先述した1日の中での血圧の変化は、血圧日内変動とよばれています。この血圧日内変動は、朝の起床前から上がりはじめ、日中は上下動し夕方から夜にかけて、睡眠時は低いことをお伝えしました。このような血圧日内変動は、自律神経の働きが関係していると言われています。

 

 自律神経には、交感神経と副交感神経の2つの神経系があります。このうちの交感神経は朝から昼にかけて強くなり、それにつれ血圧が高まると考えられています。いっぽうの副交感神経は夜や睡眠時に強くなると考えられており、そのため血圧は低くなると考えられているのです。

 

 睡眠時の血圧に関する研究も進んでいて、夜間に血圧が低くならないタイプの人や血圧が極端に低くなるタイプの人がいることもわかってきています。睡眠時の血圧は測定しづらいですが、気になる方は家族に協力してもらって、計測してみてもいいでしょう。

 

低血圧になるとどうなる

 そもそも低血圧とは一般的に、最高血圧(収縮期血圧)が100mmHg以下であり、最低血圧(拡張期血圧)が60mmHg以下の状態をいいます。ただし、医師によっては多少数値の見解が異なる場合もあります。

 特に女性に多くみられ、その数は男性の4倍にのぼると言われており、その理由として女性ホルモンに末梢の血管を拡張する働きがあるためと考えられています。そうした低血圧の症状には、朝すっきりと起きられない、立ちくらみがする、耳鳴りがするなどが挙げられます。

低血圧で起こる症状
 前述したものは低血圧の症状の一部です。低血圧の方に多くみられる症状は以下の通りです。

・朝すっきりと起きられない
・全身の倦怠感(だるさ)
・食欲不振
・めまい
・耳鳴り
・頭痛
・肩こり
・不眠

 特に低血圧の方に多くみられる症状は「起きられない」「倦怠感」「食欲不振」です。これは、血圧が低いため全身の血流が弱いため血の巡りが悪くなり、さらに臓器の働きが鈍くなってしまうことで起こると考えられる症状です。

低血圧の原因
 低血圧には大きく分けて4つの種類があります。それぞれに異なる原因があるので、以下より順に解説します。

   

・本態性低血圧
血圧だけが常に低い状態の、一般的に低血圧と呼ばれているものです。特別な原因がみられず、遺伝や体質が原因ではないかと考えられています。

・食後低血圧
その名の通り、食後に血圧が大きく下がることを指します。食後は、腸などの消化器に血が集まります。全身の血圧を維持するために心拍数が上昇し、腸以外の血管が収縮するのですが、この仕組がうまく機能しないと、血圧は低下します。

 このような食後低血圧は、血圧が高めの人と、自律神経を制御する脳に異常が出る疾患を持つ人に起こりやすいといわれています。

・起立性低血圧
横になった状態から急に立ち上がる、または長時間立ち続けているときに血圧が下がってしまい、立ちくらみやめまいを起こすものが起立性低血圧に該当します。

 普段の血圧は正常範囲内であっても、起き上がった時に最大血圧が20mmHg以上下がることが特徴としてあげられます。

 原因としては血流量が低下して調節反射が起こらないためだと考えられています。この場合、血圧は起立したときに下がったまま戻らないため、立ちくらみのような症状がおき、貧血と勘違いする方も多くいるようです。

・二次性低血圧
なんらかの病気が原因で血圧が下がる低血圧を指します。この症状に該当する病気としては、心筋梗塞やうっ血性心不全、出血、やけど、嘔吐、腸閉塞、急性中毒などの病気があります。急激な低血圧が発生するため、危険が伴います。

 また、がん、肺結核、貧血、白血病、甲状腺機能低下などが原因の場合、常に血圧が低い状態である慢性的な低血圧が続く可能性もあります。

低血圧に役立つ朝食のポイント

 上記で低血圧の症状をご紹介しましたが、その症状の一つとして食欲不振が多くみられます。そのため、3食をきちんととらない、あるいは食事自体はとるが量が少ないなどのケースがあり、1日に必要な栄養を取り切れていないことも多いようです。

 そうした低血圧による食欲不振の方に、ぜひ積極的にとっていただきたいのが朝食です。朝食は体を温める効果があるうえ、当然エネルギーも摂取できるので、低血圧改善に効果的です。

 ここでは、低血圧改善に効果が期待できる栄養素や食材、それらを利用したレシピもご紹介します。

朝食が必要な理由
 前述したとおり、低血圧の方は食欲不振から食事をおろそかにする傾向が多くみられます。ですが、低血圧の改善には食事、特に朝食は不可欠です。その理由として、朝食は1日のスタートとなる重要なエネルギー源であるためです。

 また、1日のうちで朝起きたときは体温が一番低く、そのため、脳を含めた臓器が活発に活動できていない状態です。朝食には体温を上げる効果があり、体温が上がることで臓器が活発に動き、血を全身に送り出す機能も十分に働くため、朝食をとって体温を上げることが低血圧改善の第一歩と言えるのです。

低血圧に役立つ栄養素
 低血圧の改善を考えるうえで、1日活動するために必要なエネルギーと栄養バランスの良い食事は必須です。特に意識してとってほしい栄養素は、下記のとおりです。

・タンパク質
人間の体を作るのに必要なたんぱく質は、低血圧の予防・改善にも大いに力を発揮します。タンパク質は血液を送る心臓などの臓器や血管、また血液の材料になるほか、ストレスによって乱れがちな自律神経を安定させる働きもあります。そのため、基本的に毎食ごとに20~30gの摂取を心がけましょう。

・塩分
塩分には血管を広げる、体温を上げるという2つの大きな働きがあるため、血液の流れが弱い低血圧の方にはぜひ摂取し、血液が流れやすい体内環境を目指したいものです。とはいえ、塩分の取りすぎもよくありません。厚生労働省が推奨する日本人の1日の食塩摂取量の目標値は、成人男性であれば8g未満、成人女性は7g未満です。

・水分
水分の摂取は体の中を流れる血液の量を増やし、スムーズに流れるようにするので、とても重要なことです。一般的には1日に必要な水分摂取量は約1リットル~2.5リットルと言われているので、何回かに分けて必要量をとるように心がけましょう。加えて、食事から水分を摂取するのもおすすめです。

 血圧は1日の中でも大きく変動します。朝に起きてからの血圧を正しくコントロールする上でも、朝食は重要です。血圧が気になる方は、朝食を見直してみてはいかがでしょうか。

 通常食事は朝昼夕と3回ですが、夕食から翌日の朝食までが食事を取らない時間帯が一番長いわけです。ここで脱水気味にならないようにすることも朝の低血圧などの予防にもなるので注意しましょう。

自測自健とは

自分の体の状態を自分で測る。健康を保つための新習慣を考える

健康状態を知るためには、血圧や体重、体脂肪率など、さまざまなデータを測ること。
しかも、人間ドックや健康診断の時ではなく、毎日「自分で測る」ことが大切です。

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