「自測自健(じそくじけん)」のススメ

  • TOP
  • 血圧
  • 低血圧と貧血はまったくの別もの!それぞれの症状・原因・対処法を徹底比較

低血圧と貧血はまったくの別もの!それぞれの症状・原因・対処法を徹底比較

 低血圧と貧血の違いはご存知でしょうか。倦怠感や立ちくらみといった共通の症状がありますが、低血圧と貧血はまったく全くの別ものです。これらが関係している、むしろ同じものだと誤解している人は少なくありません。低血圧と貧血の対処法は異なるので、自分の状態を明確に知る必要があります。今回は、よく混同されてしまいがちな低血圧と貧血について、それぞれの症状・原因・対処法などを徹底比較してご紹介します。

監修者プロフィール

伊藤メディカルクリニック院長
伊藤 幹彦 先生

東京医科大学卒業後、東京医科大学第2外科(心臓血管外科)入局。東京医科大学八王子医療センター心臓血管外科や東京警察病院外科医長などを経歴し、現在は伊藤メディカルクリニックの院長を務める。これまでの術者としての経験をもとに、全身管理の大切さをモットーとし、健康維持への貢献を目指している。

 朝起きるのがつらい、起き上がるときにフラフラする、立っているとクラクラするなどの症状を「低血圧だ」「貧血だ」と決めつけてはいけません。低血圧と貧血が同じものだと思っている人は多いですが、実際にはまったくの別ものです。今回は、低血圧と貧血の違いを、それぞれの症状・原因・対処法を比較しながら説明します。

低血圧と貧血には大きな違いがある

 まずは低血圧と貧血について、それぞれの違いをご紹介します。

・低血圧
血液が動脈を通過するときに、血管の壁を内側から押す力を「血圧」と呼び、この血圧が基準よりも低い状態を低血圧と言います。低血圧になると、身体の下から上に重力に逆らって血液を送る必要がある「脳・末端部分」に対して十分に血液が行き届かなくなり、以下のような症状がでてくるようになります。

症状:倦怠感、めまい、立ちくらみ、動悸、冷え、食欲不振など

・貧血
貧血は、血液の中に一定量含まれている「赤血球」もしくは「ヘモグロビン」が、正常な量より少なくなり、血液が薄くなっている状態です。貧血の主な原因は「鉄分不足」です。鉄分が不足すると、ヘモグロビンの生成が難しくなり、赤血球が小さくなるので、血液の色も薄くなります。赤血球が小さくなると酸素を身体に運ぶ働きが低下するので、以下のような症状が出てくるようになります。

症状:顔色が悪い、立ちくらみ、動悸、倦怠感、頭痛、息切れなど

 このように、立ちくらみや倦怠感から勘違いされやすい低血圧と貧血ですが、その他の症状や原因などは異なっています。

低血圧か?貧血か?どちらなのか調べる方法

 自分が低血圧なのか貧血なのかを調べるには、医療機関で診断を受けるのが効率的です。不用意な自己判断で決めつけてしまうと、正しい対処ができず、いつまでも改善が見込めません。

・血圧の検査
病院で血圧を測ることももちろん可能ですが、病院で測る血圧と自宅で測る血圧が異なる場合もあるため、自宅で継続して測ってみる(家庭血圧)ことも必要です。自分の状態をより正確に把握できます。WHOによると低血圧の判断基準は「収縮期血圧(最高血圧)100mmHg以下/拡張期血圧(最低血圧)60mmHg以下」となっています。

 ただ、数値上は低血圧であっても、症状が出ない人もいます。その場合は、取り急いで治療を受ける必要はありません。しかし、自覚症状が出てきた場合はすぐに医療機関で診察・治療を受けるようにしましょう。

・血液検査
貧血かどうかを調べるには、血液検査が必要です。採血を行って「赤血球系」の数値をチェックし、貧血になっているかどうかを判断します。検査で調べるのは以下の項目です。

*赤血球数(RBC):血液の中に含まれる赤血球の数
*ヘモグロビン濃度(Hb):血液の中に含まれるヘモグロビンの濃度
*ヘマトクリット値(Ht):血液の中に含まれる赤血球の容積の割合

これらの数値を正常値と比較して、貧血かどうかを診断します。ヘモグロビン濃度が低い場合に貧血と診断されるのが一般的です。

低血圧の対処法とは?

 次に実際に低血圧を改善する方法についてご説明します。

・規則正しい生活
自律神経は血流を制御する働きがあるため、自律神経を整えることで低血圧を改善できます。そのため、低血圧の方は規則正しい生活リズムを取るようにしましょう。早寝早起きを心がけ、毎日同じ時間に寝て起きるという習慣をつけましょう。

・食生活の見直し
低血圧の改善には、栄養バランスの取れた食事が効果的です。中でも重要な栄養素は「タンパク質・ビタミン・ミネラル」です。タンパク質は、血管や血液を作る材料になり、ビタミンやミネラルは血流を整える作用があります。これらが豊富に含まれている食材を摂取しましょう。

・運動をする
運動不足により、血液のめぐりが悪くなり、低血圧となるケースもあります。足の筋肉を鍛えると、下半身の血液をしっかり心臓に届けることができるようになり、低血圧を改善できます。ウォーキング、階段昇降といった軽いトレーニングからはじめてみましょう。

・ストレスを溜めない
ストレスに弱い(過剰に抱え込んでしまう)体質の方は、交感神経が必要以上に活発になり自律神経が乱れやすくなります。自律神経が乱れると血流制御は難化し、低血圧の悪化に繋がりかねません。ストレスを発散してリラックスできる時間を確保しましょう。

・昇圧剤の服用
昇圧剤という血圧を上げる薬があります。一般的な昇圧剤として「塩酸ミドドリン」「塩酸エチレフリン」などが挙げられます。これらには発疹、嘔吐などの副作用が多数あるため、必ず医師の診察・指導の下で使用してください。

貧血の対処法とは?

 貧血を改善するには、主に食事療法と鉄剤を服用する2つの方法があります。

・鉄分を摂取する
食材に含まれている鉄分には身体に吸収されにくい「非ヘム鉄」と、溶けやすく吸収されやすい「ヘム鉄」があります。

 ヘム鉄が多く含まれている食材は豚肉、鶏肉、牛肉、レバー、もつ、いわし、まぐろ、かつお(とくに血合い部分)などが挙げられます。非ヘム鉄もビタミンなどの栄養素を利用することで、吸収されやすくなるので、料理に苦手意識がない方は、うまく組み合わせてみましょう。

 鶏卵、あさり、しじみ、大豆、ホウレンソウ、ひじき、プルーン、レーズンなどに非ヘム鉄が含まれています。

・タンパク質を摂取する
タンパク質はヘモグロビンの材料になるので、鉄分と同じように積極的に摂取してください。牛・豚肉やまぐろの赤身、かつおから良質なタンパク質を摂取でき、「非ヘム鉄」の吸収を助けてくれるので、一緒に摂取するのがおすすめです。

・ビタミンCを摂取する
ビタミンCは「非ヘム鉄」を吸収しやすい状態に変える作用があるので、一緒に摂取するといいでしょう。ミカンやイチゴ、ブロッコリー、ピーマンなどから摂取でき、サプリメントも効果的です。また、梅干しや、お酢などに含まれているクエン酸にも同じ作用があります。

・鉄剤の摂取
日常的に鉄分を摂取することが難しい場合は、「鉄剤」を摂取する手段もあります。鉄剤は食材よりもたくさんの鉄分を摂取が可能です。ただし、鉄剤の摂取には、吐き気、嘔吐、下痢、便秘といった消化器系の副作用が出る場合もあるので、必ず医師の診察・指導の下で使用してください。

低血圧か貧血かどうかを知り、正しい対処法を!

 自分の症状が低血圧なのか、貧血なのか、把握することが大切です。自分の状態を把握することで正しい対処法がとれ、根本から改善することができます。健康的な生活のためにも、まずは低血圧と貧血のチェックをして、自分に合った対処法を選択してください。

自測自健とは

自分の体の状態を自分で測る。健康を保つための新習慣を考える

健康状態を知るためには、血圧や体重、体脂肪率など、さまざまなデータを測ること。
しかも、人間ドックや健康診断の時ではなく、毎日「自分で測る」ことが大切です。

関連記事