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低血圧のつらい症状を緩和する7つの対処法

 眠気、震え、発汗、吐き気など、低血圧は多くのつらい症状を抱えることになります。低血圧は大きく4種類に分類でき、それぞれで症状や原因が異なるため、種類や原因がわかれば正しい対処を行うことが可能です。病院治療も大切ですが、まずは日常生活を改善することが大きな一歩となります。今回は低血圧の種類や原因を解説し、症状を緩和させる7つの対処法をご紹介します。

監修者プロフィール

伊藤メディカルクリニック院長
伊藤 幹彦 先生

東京医科大学卒業後、東京医科大学第2外科(心臓血管外科)入局。東京医科大学八王子医療センター心臓血管外科や東京警察病院外科医長などを経歴し、現在は伊藤メディカルクリニックの院長を務める。これまでの術者としての経験をもとに、全身管理の大切さをモットーとし、健康維持への貢献を目指している。

 低血圧の方に多い症状として、眠気、震え、発汗、吐き気などがあげられます。今回は、そんな低血圧の種類と原因、7つの緩和方法などをご紹介します。

低血圧には4つの種類がある

 低血圧には大きく4つの種類があり、それぞれ原因や症状が異なります。まずは自分がどの種類の低血圧なのかを把握しましょう。

1.本態性低血圧
低血圧の中で一番多いとされているのが、本態性低血圧です。原因はまだ解明されていない上に、遺伝の可能性もあります。疲労を感じやすく、冷え性などの虚弱体質の方に多いとされています。自覚症状がないのであれば、過度な心配は必要ないでしょう。

2. 起立性低血圧
急に立ち上がるときや朝起き上がるときなどに、急激な血圧の低下によるめまいや立ちくらみを起こすのが起立性低血圧です。脳の血液量が一時的に少なくなることが原因とされ、下半身に血液が蓄積してしまい心臓に戻りにくい状態になっていると、起立性低血圧になりやすくなります。注意したいのが、普段は低血圧の症状がないという方も、起立性低血圧になりうる可能性があるということです。

 起立性低血圧は立ち上がった後、3分以内に流れる心臓から送り出される血圧を測って診断します。心臓が収縮したときの血圧を収縮期血圧といい、心臓が拡張したときの血圧を拡張期血圧といいます。以下が起立性低血圧の診断基準です。

・収縮期血圧が20 mmHg 以上低下
・収縮期血圧の絶対値が 90 mmHg 未満に低下
・拡張期血圧の10 mmHg 以上の低下

 起立性低血圧の中でも細かく分類すると2種類の症状に分けられます。心筋症や糖尿病などの病気に起因する二次性のものと、神経系の障害に起因する特発性のものです。学校の朝礼などで急に倒れてしまう子などは「特発性」の起立性低血圧の症状である可能性が高いでしょう。

3. 二次性低血圧
病気、怪我、薬の服用などの二次的な作用が原因で引き起こる低血圧です。心臓病、胃腸の病気、内分泌異常、甲状腺異常、大量の出血を伴う怪我などが引き金となります。

4.食後低血圧
食後に限り、血圧が低下する状態のことです。食中や食後は消化・吸収のため、胃に血液が集まります。そのときに低血圧の人は心臓に血液が戻りにくくなる状態になります。症状として食後にだるくなったり、胃もたれや吐き気などをもよおしたりすることがあります。高齢者に多く見られ、3人に1人は食後低血圧だともいわれています。

低血圧の症状を改善させる7つの対処法

 ここまで低血圧の原因と症状を紹介しましたが、低血圧は日常生活の中で改善することが可能です。今回は、7つの対処法をご紹介します。

1.水分をしっかり摂取
低血圧になりやすい方は、水分をしっかりと摂取しなければなりません。水分の摂取は血液量の増加に繋がってくるからです。特に起きてすぐの状態は、寝ている間の発汗により水分が不足しているため、必ず補給するようにしましょう。

2.規則正しい生活リズム
しっかり睡眠時間を確保して、同じ時間に寝る・起きるというリズムを身につけるようにしましょう。不規則な生活は自律神経が乱れる原因になり、血液の制御が難しくなります。

3.食事のバランス
食事は3食しっかり食べ、栄養バランスが偏らないように注意しましょう。「タンパク質・ビタミン・ミネラル」が含まれている食材(肉類・魚類・大豆食品・海藻類・野菜など)を摂取することが理想的です。特に、タンパク質は臓器や血管、血液の構成要素となり、自律神経の安定にも繋がります。ビタミンやミネラルも、血流を正常にする健康な体作りのためには必要不可欠です。

 また、「塩分」も適度に摂取し、体内の塩分濃度が低くなり過ぎないように意識しましょう。塩分には、体温を上げて血管を広げることで血流をスムーズにする働きがあります。ただし過剰摂取は逆効果なので、注意が必要です。

4.運動で筋肉を鍛える
筋肉が衰えていると心臓に血液を戻すことが難しくなり、低血圧による体調不良が悪化します。ウォーキングなどの有酸素運動を日常に取り入れることで、血流の改善が期待されます。また、「第2の心臓」と呼ばれる「ふくらはぎ」は下半身にたまった血液を心臓に戻すポンプのような働きを持つので、足の筋トレや保温なども低血圧の改善に効果的と言えます。

5.温度差を意識する
部屋の温度が暑すぎる、寒すぎる、外との寒暖差が大きいという状況は避けましょう。急に体を温めると血圧の低下につながります。室温を適度に調節しましょう。

6.ゆっくりと動く
起立性低血圧の場合、急に立ち上がることでめまいなどが引き起こされます。ゆっくりと動くように意識しましょう。また、睡眠時に工夫することで、起きたときの症状を軽減できます。頭を少し高くして就寝し、起き上がる際は足首を回し軽く足全体を動かすことで、血液の循環が改善されるでしょう。

7.カフェインを適度に摂取する
コーヒーやお茶などカフェインが含まれた飲み物もおすすめです。カフェインは交感神経を刺激するので、血液の流れがスムーズになります。ただしカフェインを摂取し過ぎると、夜眠れない、頻尿などの症状が出てくる可能性があるので、過剰な摂取は控えましょう。

症状がひどいときは病院治療へ

 自宅での改善策であまり効果が見られない場合は、病院治療を検討しましょう。このとき受診をおすすめするのが、血圧の問題に的確な対処ができる「循環器内科」です。低血圧の治療をすると、薬物治療や、生活習慣の見直し指導などを受けることになります。

・医師から日常生活への指導
低血圧の治療では、日常生活において注意すべき点を医師からアドバイスしてもらい、その指示に従って生活を見直すことになります。

・昇圧剤
昇圧剤は血圧を上げるために使われる薬です。末梢血管の緊張を高めて血管を収縮させ、血圧を上げるという作用があります。一般的に使われている昇圧剤の成分とその効果・副作用は以下の通りです。

*塩酸ミドドリン:末梢の静脈を収縮させて、血圧を上げる薬です。副作用には、嘔吐、腹痛、過敏症、悪心、頭痛、発疹、不眠、動悸などがあります。

*メチル硫酸アメジニウム:交感神経を刺激して静脈の血液の滞りを改善し、血圧を上げる薬です。副作用には、悪心・発疹・不眠・嘔吐・口の渇きなどがあります。

*塩酸エチレフリン:交感神経を刺激して血圧を上げる薬です。副作用には、動悸、悪心、発疹、頭痛、嘔吐、胸が苦しいなどがあります。

低血圧の症状を緩和させて元気な生活を取り戻す

 低血圧の症状は、生活習慣を改善することで緩和されます。まずは上述した7つの対処法から自分でできることを選んで実践してみてはいかがでしょうか。それでも改善されない場合は、病院での治療を検討しましょう。

自測自健とは

自分の体の状態を自分で測る。健康を保つための新習慣を考える

健康状態を知るためには、血圧や体重、体脂肪率など、さまざまなデータを測ること。
しかも、人間ドックや健康診断の時ではなく、毎日「自分で測る」ことが大切です。

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